仮想通貨の世界でひときわ異彩を放つコイン、それがDOGE(ドージコイン)です。日本の柴犬「かぼすちゃん」のインターネット・ミーム(ネタ画像)をモチーフに、もともとは「ビットコインのパロディ」というジョークとして生まれました。
しかし、そのユニークな出自と、強力なコミュニティの力、そして“あの”イーロン・マスク氏からの寵愛を受け、今や時価総額ランキングで常に上位に食い込むほどの「草コインの雄」へと成長しました。
この記事では、そんなDOGEがたどってきたおもしろエピソードの数々を、出典とともに詳しく紹介します。
本記事は投資を推奨するものではありません。
暗号資産は価格変動が非常に激しいため、投資の際はご自身の判断と責任において行ってください。
エピソード1:開発期間3時間!?爆速で生まれたDOGE
DOGEが誕生したのは2013年12月のこと。スピード感がすごいです。
始まりは一人の“つぶやき”から。当時オーストラリアのAdobe社でプロダクトマネージャーをしていたジャクソン・パルマー(Jackson Palmer)氏が、「次の大きな投資先はDogecoinだ。間違いない」と冗談でツイートし、公式サイトdogecoin.comを取得したのが全ての始まりでした。
“Investing in Dogecoin, pretty sure it’s the next big thing.”
- Jackson Palmer
彼らはビットコインとの違いを出すため、以下のような「おふざけ」設定を加えました。
- 発行上限を撤廃: ビットコインの希少性に対するアンチテーゼとして、発行上限を設けず、無限に増え続けるようにした。
- ランダムな採掘報酬: 当初、ブロックを採掘(マイニング)した際の報酬がランダムで、まったくもらえないこともあれば、大量にもらえることもあるという、ゲームのような仕様だった(現在は固定)。
このように、DOGEは壮大な計画のもとに生まれたのではなく、二人のエンジニアの「面白いからやってみよう」というノリから、驚くべき速さで誕生したのです。
出典:
- CNBC, “The 27-year-old creator of dogecoin says he ‘didn’t get rich’ off the crypto surge” (https://www.cnbc.com/2021/05/13/dogecoin-creator-billy-markus-didnt-get-rich-off-the-crypto.html)
- Coindesk, “Dogecoin: The Most ‘Honest’ Sh*tcoin?” (https://www.coindesk.com/markets/2013/12/26/dogecoin-the-most-honest-shtcoin/)
エピソード2:コミュニティの力!ソチ五輪にボブスレーチームを送り出す
DOGEの価値は、その技術よりも「コミュニティ」にあると言われます。
その象徴的な出来事が、2014年のソチ冬季オリンピックで起こりました。
12年ぶりに出場権を獲得したジャマイカのボブスレーチームが、なんと渡航費用やそりの購入費用が足りないという危機に直面。このニュースを知ったDOGEコミュニティは、「クール・ランニングの続編を俺たちの手で!」とばかりに「Dogesled(ドージそり)」と名付けた募金活動を開始します。
驚くべきことに、わずか数日で目標額を大きく上回る約3万ドル(当時のレートで約2,600万DOGE)が集まり、チームは無事にソチへ旅立つことができました。
ジョークコインが、国の代表チームをオリンピックに送り出すという、前代未聞の出来事でした。
出典:
- The Guardian, “Dogecoin Jamaican bobsleigh team fundraiser aims for $30,000” (https://www.theguardian.com/technology/2014/jan/20/dogecoin-jamaican-bobsleigh-team-fundraiser)
エピソード3:サーキットを駆け抜けた「Dogeカー」
DOGEコミュニティの「お祭り好き」は止まりません。同じく2014年、アメリカで大人気のモータースポーツ「NASCAR」に参戦するドライバー、ジョシュ・ワイズ選手のスポンサーになるための資金調達キャンペーンが立ち上がりました。
ファンたちは6,700万DOGE以上(当時のレートで約5万5,000ドル)を集め、ワイズ選手の車のボンネットとボディ全体に、あの柴犬のミームと「DOGECOIN」のロゴをでかでかとラッピング。この黄金に輝く「Dogeカー(背番号98)」がサーキットを疾走する姿は全米で大きな話題となり、DOGEの名前を一躍有名にしました。
出典:
- ESPN, “Dogecoin, Reddit rally to sponsor car” (https://www.espn.com/racing/nascar/cup/story/_/id/10673752/dogecoin-reddit-community-raise-money-sponsor-josh-wise-nascar-sprint-cup-series-race-talladega-superspeedway)
エピソード4:イーロン・マスク絡みのあれこれ
DOGEを語る上で、テスラ社CEOのイーロン・マスク氏の存在は欠かせません。
彼の気まぐれなツイート一つで、DOGEの価格はジェットコースターのように乱高下してきました。
- 「Dogeは人々のための暗号資産だ」と公言
- 彼は自らを「Dogefather(ドージの父)」と名乗り、「Dogeはみんなのもの」「火星の公式通貨になるかも」など、数々の名(迷)言でDOGEを煽り続けました。
- SNL出演で大暴落
- 2021年5月、彼が人気テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL)」に出演した際には、世界中の期待が高まり価格が急騰。しかし、番組内で彼がDOGEを「ハッスル(Hustle:詐欺、ごり押しの意)」と表現したことから、放送直後に価格は40%近くも大暴落しました。
- Twitterロゴを柴犬に
- 2023年4月、マスク氏はTwitter(現X)の青い鳥のロゴを、何の前触れもなくDOGEの柴犬アイコンに数日間変更。これだけでDOGEの価格は一時30%以上も急騰しました。理由は「昔の約束だから」とのこと。
- テスラでDOGE決済を導入。
- テスラのオンラインストアで、一部のグッズ(サイバーホイッスルなど)をDOGEで購入できるようにしました。
- 月へ行く「DOGE-1」ミッション
- SpaceXは、2021年5月にDOGEで資金調達された月探査ミッション「DOGE-1 Mission to the Moon」を打ち上げると発表。文字通り「To the Moon」という仮想通貨界隈の言い回しを現実にしようとしています(※2025年現在、打ち上げはされていない模様)。
出典:
- Reuters, “‘It’s a hustle’: Dogecoin slumps as Elon Musk hosts ‘Saturday Night Live’” (https://www.reuters.com/technology/dogecoin-slumps-elon-musk-calls-it-hustle-snl-show-2021-05-09/)
- Bloomberg, “Elon Musk’s Twitter Replaces Blue Bird With Doge Meme, Boosting Coin” (https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-04-03/dogecoin-surges-after-musk-s-twitter-replaces-logo-with-meme)
- Geometric Energy Corporation, “SpaceX to Launch DOGE-1 to the Moon!” (https://www.spacetv.net/doge-1-mission-to-the-moon/)
エピソード5:開発者はとっくに手放していた!
これだけDOGEが有名になったのだから、開発者たちは大金持ちになっただろう…と思いきや、現実は少し違います。
共同創設者のビリー・マーカス氏は、2015年に職を失った際、生活費の足しにするため、持っていたDOGEをすべて売却してしまいました。その売却益で手に入れたのは、なんと「中古のホンダ・シビック」だったそうです。もし彼が持ち続けていれば、億万長者になっていたことは間違いありません。
もう一人の創設者ジャクソン・パルマー氏も、2015年にはプロジェクトから離脱。彼は現在の暗号資産業界の投機的な側面に対して批判的であり、距離を置いています。
生みの親たちが去った後も、DOGEはコミュニティとミームの力だけで生き残り、成長を続けてきたのです。
出典:
- Business Insider, “Dogecoin co-creator says he sold his holdings in 2015 for enough money to buy a used Honda Civic” (https://markets.businessinsider.com/news/currencies/dogecoin-cofounder-sold-holdings-2015-honda-civic-crypto-mania-2021-2)
まとめ:DOGEは単なるコインではない、一つの“文化”だ
たった数時間のジョークから生まれ、オリンピックチームを助け、NASCARを走り、イーロン・マスクに愛され、宇宙を目指す。DOGEの物語は、他のどの暗号資産にもない、唯一無二の魅力に満ちています。
それはもはや単なるデジタル通貨ではなく、インターネットが生んだ一つの「文化」と言えるのかもしれません。その価値は、価格チャートだけでは測れないところにあります。
これからもDOGEがどんな面白い物語を紡いでいくのか、目が離せませんね!

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